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山本周五郎「地蔵」

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山本周五郎「地蔵」

By: 山本 周五郎
Narrated by: 遠藤
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<内容紹介>
山本周五郎は「文学には“純”も“不純”もなく、“大衆”も“少数”もない。ただ“よい小説”と“わるい小説”があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。
その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。

<あらすじ>
脛黒は聴衆の前で地蔵尊の奇蹟を訴えていた。彼の顔には敬虔な畏怖と信仰の深い驚きとが、誰にも疑う余地もないほど明確にはっきりと刻みつけられていた。
石の地蔵に手首を縄で縛り上げられた手白を指して脛黒は、人殺しの罪を犯し、強盗を繰り返したこの大悪人を、地蔵様が首根っこを掴んで叩き伏せ、縛り上げたと叫ぶ。今は彼が地蔵尊の霊験によって改心し、真面目な人間に生まれ変わったと話すと、聴衆たちはその有難い霊験に驚き、拝み奉っては進んで寄進をしていた。だが、それは脛黒と手白が金を集めるために打った芝居だった。
その場に、市町の長者が若者たちと共に現れた。
「地蔵尊のあらたかな霊験を聞かれ、勧進に付くとの仰せでまいられた、おのれらその道をあけろ」……

<山本周五郎(やまもと・しゅうごろう)>
1903~67年。小説家。山梨の生まれ。本名・清水三十六(さとむ)。名は生まれ年からつけられ、筆名は東京で徒弟として住み込んだ質屋「山本周五郎商店」にちなんだ。20代前半に作家活動を始め、39歳の時『日本婦道記』が直木賞に推されたが受賞辞退。その後も多くの賞を固辞する。江戸の庶民を描いた人情ものから歴史長編まで作品は数多い。代表作には、「樅(もみ)ノ木は残った」「赤ひげ診療譚」「おさん」「青べか物語」「さぶ」などがある。1987年9月には、「山本周五郎賞」が新潮文芸振興会により設定された。

©2018 Pan Rolling
Historical Fiction
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