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谷崎潤一郎「途上」

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谷崎潤一郎「途上」

By: 谷崎 潤一郎
Narrated by: 山本 衣織
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普通の推理小説とはひと味違い、事件解決が目的ではなく、探偵「安藤」の1人語りで「湯河」を追い詰めていく心理戦が描かれる。

サラリーマンの湯河は、会社からの月給と年末賞与をポケットに忍ばせ、愛する妻を喜ばせようとあれこれ思案しながら家路を急いでいた。

しかしそこへ、知り合いからの依頼だと言って、探偵を名乗る男に声を掛けられる湯河。

探偵は、湯河が前妻を亡くしたその真相を事細かに調べ上げており、次々と湯河に語りかけていく。

愛するが故に夫を信じきっていた妻が、どのようにして死に至ったか。

それを、ただただ歩きながら語る探偵と、聞くばかりの湯河。

この『途上』というタイトルには、探偵が目的とする場所へ向かうと共に、話の過程も本質に近づいていくような含みがある。

江戸川乱歩に「日本の誇り得る探偵小説」と言わしめた本作は、短編ながらも、一度その「途上」を一緒に歩み出してしまったら、目的地まで掴んで離さない力を持っている。
谷崎潤一郎

1886年(明治19年)東京日本橋で生まれる。家業が傾き、住み込みで書生となり家庭教師をしながら学業に専念。1908年に東京帝国大学国文科に入学。1910年大貫晶川、小泉鉄らと第2次『新思潮』を創刊、『誕生』や『刺青』などを発表。1911年授業料未納のため退学。1915年 石川千代と結婚、1930年離婚。関東大震災後は関西へ移住し『吉野葛』『春琴抄』を発表。
1931年 古川丁未子と結婚、1934年離婚。1935年森田松子と結婚。1959年 右手に麻痺症状が出て、口述筆記にり執筆。1965年79歳で死去。©2022 PanRolling
Asian Literary Fiction
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